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ジャンル:ドキュメンタリー
製作国:日本
監督:田村 絋三
主演:KAZUYAほか

あらすじ


これを観た人に「自由であること、好きなことだけを追及して良いんだ。」という生きざまを素直に見せてくれることで、心地良い安心感と勇気を与えてくれる。

1990年代のバンドブーム時に北海道で人気を誇り、ピーク時はメジャーデビュー間違いなしと言われてから10年間売れずにそのまま解散したバンドPHOOLの元ボーカル「KAZUYA」。売れなさ加減はソロになって更に加速し、とにかく売れない売れないひたすら売れない・・・ライブをしても客はたいてい3~4人。集客力がほぼゼロなので収入もない。周囲の人たちによると
「あいつの職業?HIMOでしょう」
実家に帰ればお母さんにカメラの前で
「いつもたばこなんて吸って・・・やる気が無いんだから」
と怒られ
「たばこなんてかんけーねぇんだよ!」
とヤンキー(中学生)のような反抗っぷりの51歳。
携帯も持たず、すぐにフラフラと飲みに出歩く彼の追跡取材は難航を極めた伝説(?)の
「世界一売れないミュージシャンのドキュメンタリー映画」
その壮大な映画の製作費の大半はKAZUYAの飲み代に消えたという・・・
映画化されてもきっと相変わらず売れないアーティストの映画は、恐らくDVD化もされない(してほしいけど)。
今ここでしか観れないこの映画は絶対に今観るべきだと思う。

所感など

この映画とは全く関係のない、こちらの調査結果を見て驚きました。
就活に苦しんで自ら命を絶ってしまう若者が増加の一途をたどり、その数は5年前の2.5倍にもなっているそうです。そんな「厳しい」と言われる時代に
「収入?無いね」
「就職?やだよ・・面接受けるんでしょ?怖いもん・・・」

定職も収入も無くても関係ない。好きな音楽が出来ればそれで良い。 カメラに向かって自分の生き方の熱いメッセージやポリシーを語るわけでもなく、売れるかどうかすらも気にも留めず、ただひたすら堂々と音楽を追う51歳の彼は逆に熱いのか?!と裏を読んでしまうほど、正直で真っすぐな姿は安心と感動と笑いの宝庫です。

インタビューで
「これからどうやって生きていくんですか?」
という半ば嫌味のような質問をされても
「だから音楽だって!!」
と全然売れてなくたって当たり前のように堂々と答える姿は
「ミュージシャン」=「売れてる人が成功者」
という我々が勝手に仕立て上げた図式を心地良く破壊してくれます。

経済的な力が無く、一見すると享楽的に見える姿を決して上から見下す映画ではなく
「好きなことだけ突き詰めて生きるのは当たり前だ」
という、KAZUYAにとって当たり前だけど周囲が勝手に「難しい」とか「甘い」と決めつけているだけであることをとてもよく表現しています
そのことが
「就職なんてヒマな奴がするもんだよ」
というKAZUYA自身のセリフの裏にも良く表れている。
好きなことを自由に突き詰めるのになんで就職する必要がある?おれにはそんなヒマは無いよ。

そしてオフィシャルサイトでのコメントを見ると本当に多い
「勇気付けられた」「安心した」「こんな51歳がいるんですね」
と前向き&感謝の言葉のオンパレード。それらのコメント群の後ろの方にKAZUYA自身の
「これ観たらおれも頑張ろうと思ったもん」
まるで他人事のような感想は完全に一般観客の中に埋もれていました。
きわめつけは、その下に記載されていたある男性の感謝のコメント
「KAZUYAさんがまだ生きているうちに、このようなドキュメントを残してくれてありがとうございました。」
一見すると勝手に「もうすぐ死んじゃう人」にカテゴライズされてしまっているようにも見えるけどそうじゃない。
「KAZUYAさんはそのまま生きているだけで周りに勇気をくれる」
という勇気あるコメントだ。
KAZUYAさんはまだまだこれから。
51歳だろうが何だろうが、自由に何かを突き詰めるのに早すぎることも遅すぎることも無い。
「ダメ男」を貫くその裏にはそんな勇気溢れた思いがきっとあるに違いない。 いや、やっぱり無いな・・・

この映画を上映中の(もしくは上映予定の)映画館情報

■東京

 新宿K'sシネマ
  -上映終了

■愛知

 シアターカフェ
  -上映終了

■大阪

 シアターセブン
  -上映終了

■京都

 立誠シネマプロジェクト
  -上映終了