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ジャンル:人間ドラマ
製作国:イギリス
監督:アラン・クラーク
主演:レイ・ウィンストンほか


英国で放送禁止処分を受けた「スカム」。各種メディアから「見たあとに最高に陰鬱になる映画」と評され40年近く日本では未公開、未ソフト化だったのがやっとソフト化されたので早速観てみた!

イギリスの少年院での悲惨なしごきやいじめ、性的暴行に耐えながらも必死に自尊心を保つ少年、抵抗する少年、精神を崩壊させていく少年を個性豊かに描きます。

ポスターに写るのはイカれた中年看守かと思いきや、主人公の少年カーリン(この絵は老けすぎ・・・)。他の少年院で問題を起こして移動してきた主人公カーリンが、看守からの理不尽なしごきや寮を仕切るリーダー格の同僚からの暴行を受けながら、「もう面倒はこりごりです」と耐える前半。そして「矯正」を名目とした、明らかに看守の歪んだ自尊心と支配欲のはけ口と化した理不尽な教育に、見ている方までムカムカしてくる。

そして後半、見るに耐えないずさんな看守の管理ミスで死亡者まで出ると、怒りが沸点ギリギリまで到達していたカーンと仲間たちがブチ切れる。その理不尽さにブチ切れる後半は「やっちまえ!!」と酒に酔って思わず怒鳴ってしまったくらい興奮しました。

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どんな面白さ?

この映画は単に「暴力的」であるところよりも別のところにあると感じた。40年近く前の暴力描写は今見てしまえばそれほど大したことは無いです。そこを期待すると肩透かし。それよりも印象に残るのは、看守たち体制側のメンバーが軒並み頼りなくみえるところ。特に印象に残るのは、文部省から派遣された女性講師に、ある少年が助けを求めるかのように訴えるシーン。

「僕たちを囚人番号ではなく名前で呼んでみて欲しい。そうすれば自尊心が癒える気がするから」

これに対して講師は一瞬絶句したあと、「それは規則で禁止されているからどうしても出来ない」と顔をひきつらせて断る。

「ルールを盲目的に過信する」体制側と「自分なりのルールを作ろうとする」少年。内部的には矯正が必要であるのは少年側なのに、はたから見ると歪んでいるのは明らかに看守側。看守側もみんな、うすうすそこに気付いているのに誰もそれを壊すことの出来ないもどかしさが、見終わった後にもジワリと残ります。

そんなもどかしさが一番顕著に現れるのが噂のラストシーン・・・たしかに噂通りの、なんて衝撃的な終わり方・・・ハッピーエンドを期待して観ると「陰鬱」な気分になれること間違いなし!映画のラストとしては衝撃だけど、この終わりかたは個人的にすごく好き!!

もし実際に現実世界で同じことがおきたら、役人魂剥き出しの少年院であれば、絶対にこれと同じ結末になるだろうなぁ。そんなことを考えながら、静かに無機質に流れるエンディングロールを眺めました。

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