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ジャンル:コメディ
製作国:イスラエル
監督:ヨセフ・シダー
主演:シュロモ・バル=アバほか


「フットノート」2011年カンヌ映画祭で脚本賞受賞のイスラエル映画を観たのでレビューしてみた!!カンヌ、ベルリン、ベネチアの世界3大映画祭で受賞しながらも日本では未公開の映画をまとめて公開する「3大映画祭週間2014」で上映されていた映画が2月にDVD化されました。

「フットノート」のあらすじ

イスラエルのとある学者一家。タムルード学という宗教学を専門とする親子教授エリゼル(父)とウリエル(息子)。エリゼル(父)は寡黙で真面目だが業績はパッとせず、評価もいまひとつ。それに対してウリエル(息子)は器用で優秀で評価も高い。この日も息子のウリエルが学会からの賞を受賞するための授与式に家族で参加しているが、エリゼルは複雑な表情だ。授与式の会場の警備員からは不審者扱いされるし、冴えない自分を気遣う優秀な息子にも苛立つばかり。

そんなエリゼルの携帯電話に、イスラエルで最も権威ある賞「イスラエル賞」が贈られるとの知らせが届く。やっと・・・やっと報われた・・・!!普段は仏頂面のエリゼルが鼻歌交じりに小躍りして喜ぶ。しかし、実はその賞はウリエル(息子)の方に授与されるはずのものが、手違いでエリゼル(父)に通知されてしまったものだった・・・

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どんな面白さ?

親子間の感情を描いた映画は大抵、親子の愛情物語か、子供が親に抱く憎悪を描いたものが殆どだと思う。この映画のように「父親が実の息子に嫉妬する」様子を描いた映画はあまり他にみたことがありません。そして単に「嫉妬する」だけではなく、その前後に生々しい展開があるのが良かったです。

真面目に研究に没頭しながらも、不器用で能力も高くなく、評価も業績もぱっとしない父親。そんな父親とは対照的に器用で能力も高い息子。なまじ住む家から研究分野まで同じだから、息子が評価されるほど父親の家での居心地は悪くなる。社会的評価だけではなく能力も高い息子を批判することもできず、出来るのは「学会のレベルが著しく低下している」ことを批判して、自分が評価されないのは評価する側のレベルに問題があることを暗に主張して自尊心を保つこと。

だから、家族と一緒にいるのがとにかく居心地が悪いし、自分を気遣う家族の行動すべてが上から目線で嫌みに感じる。そんな怒りを今までは「家族と別行動をとる」「不機嫌な態度をとる」という、思春期中学生のような行動でしか表現できなかった。だって名実ともに息子よりも劣っている自分がいくら正論をぶちまけたって、負け犬の遠吠えにしかならないから。

でも学者としての最高の賞であるイスラエル賞を受賞したのであれば話は別。受賞した瞬間に名実ともに息子を追い越したんだから、妙な自身が生まれる。長年蓄積して歪んでしまったコンプレックスを埋めるために、これまで蓄積した恨みを晴らすべく思わずとってしまうエリゼルの行動がとてもリアルです。そして、これまで冴えない父親を気遣い、家族思いで優等生のはずのウリエルの反応もリアルで面白い!!

本国イスラエルではこの映画は「コメディ」として公開されていたそうです。

美しいなイスラエル

ふだん無意識にアメリカ、ヨーロッパの景色を映した映像にばかり(?)に触れることが多い分、やっぱり普段あまり目にすることのない国の映像は新鮮さに溢れた感覚が味わえるし、ただ観ているだけで飽きない刺激があります。 特に街並みや暮らし。イスラエルというと、パレスチナとの確執やスパイというネガティブなイメージがあるし、パッと思い浮かぶ景色は「死海」やえるされむの「嘆きの壁」くらいで、街並みや生活環境はほとんど謎に近い。でもこの映画に出てくる街並みや生活環境に関していうと、そんなネガティブなイメージが一掃されるほどとにかくキレイです。ヨーロッパじゃないけどヨーロッパにすごく近い印象を受けます(ヨーロッパなんてどこも行ったことないけど)

これは完全に個人的に受けた印象だけど、逗子に披露山という「豪邸しか建っていない街」があるのですがそこの雰囲気にとても似た感じがしました(ちなみにここには松任谷由美や小田和正、反町隆史&松島菜々子夫妻の自宅かあるらしいです)。恐らく「緑が多い」、「比較的大きな家が多くて経済的な余裕がにじみ出ている」感じが披露山に共通して感じたところだと思います。

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