濃くて面白い映画だけの情報サイト

ジャンル:その他
製作国:その他
監督:タル・ベーラ
主演:エリカ・ボークほか
「ニーチェの馬」を観た!!まずなんの映画か全く解らないこのインパクト溢れるちょっと不気味でカッコいいポスターと、製作国がスイス、フランス、ドイツ等々と多岐にわたっているところも拍車をかけ、ますますなんの映画なのか謎は深まるばかり。

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そして実際に観てみると・・・スゴいインパクトでした・・・悪い意味で・・・

このサイトのレビューに掲載させてもらう作品は「何らかのカタチで心に残る面白い映画」を選んでます。そして「心に残る」のは、必ずしも単純に「観ていて面白い!」ものだとは限りません。

そして「観ていて苦痛だった」ような映画でも、その苦痛さが度を越えているとか、今までに観たことのない世界観だったりすると強烈に印象に残る。そしてそんなカタチで心に傷跡を残してくれた作品は、とにかく人に教えたくなるし、観てほしくなる。

よく高校時代の友達と映画の話で盛り上がるのは「ブッ飛んだ映画」を話題にしたとき。そしてそのブッ飛び要素は「悪趣味な世界観」だったり「度を越えたくだらなさ」だったり、「全く意味不明なストーリー」だったり、色々なケースがあります。 たとえば「つまらなさ」が度を越していれば、「それかどれだけつまらなかったのか、俺の人生のなかで貴重な二時間と380円のビデオ代をどれだけ無駄にしたか。このヒドさはとても言葉では表しきれない・・・」そんな悲劇を刻々と詳細に熱く自慢すると、こんな反応をする人が出てきます。

「そんなつまらない映画なんて・・・逆に面白そうじゃないか(意味不明)・・・」

そんな流れで「親友が太鼓判を押したつまらなさブッ飛び映画」を観てみたら・・・あら不思議。「おぉ・・・意外と面白ぇじゃん・・・」ってなったり。そんな展開も含めて「面白い」。観ている間だけじゃなく、観たあとにも展開がある「面白い」。そんな「面白さ」も立派な面白さなのです。



どんな面白さ?

この「ニーチェの馬」という映画もそんな「普通の面白さ」の範疇を超えた面白い映画です(笑)。「モノクロ映像の映像美」は確かに正しい。確かにスゴく美しい。でも観ていてジワジワと迫りくる絶望感と単調で規則正しい内容はちっとも美しくない。

誰もいない荒れ果てた荒野。終始吹き荒れる風と痩せた荒野のなかで、孤独ながらも静かに暮らす若い女と初老の男性と一頭の馬。孤独で貧しいが静かに生きている。吹き荒れる風の中で次第に元気を失っていく馬、干からびる井戸、底をつく燃料・・・あらゆるものの生気が吸いとられるのに比例して更に強くなっていく風。そして追い討ちをかけるようにバックに流れるひたすら単調な音楽。台詞はほとんど無い。途中で近所のおじさんが家に入ってきて、長々と一人でまくしたてるシーンが一つだけあるけど、話している内容はほぼ100パー意味不明。こんなに絶望的な気分になれる映画を久々に観た!!

以前にこんな話を本で読んだことがある。確か「やる気のスイッチ」とかそんなタイトルで、要は自分のやる気やテンションを思うようにコントロールする方法が書かれていました。そのなかで

「やる気やテンションというのは、上がったらその分必ず下がる。そして下がったときに人は挫折する。”低いとき”ではなく、”下がったとき”に挫折するのです。だからテンションは上げすぎないように。上がりすぎたら、あえて気分を少し下げてバランスをとるくらいが良い」

そうか・・・この映画は、やる気がありすぎたとき、幸せ絶頂過ぎたときにバランスをとるのに最適なのかもしれないと思うくらい、観ている人の不安を呼び起こして見事に気分を沈ませてくれるこの映画、ある意味スゴい・・・

そしてジワリジワリと迫りくる絶望と、強くなる一方の吹き荒れる風に、とうとう「こんなとこで暮らすのもうムリ!カンベン!」と弱った馬と若い娘を引き連れて、この地を出ようとするが…初老の父親のラストの台詞が強烈に印象に残るこの映画、観るのか観ないのかはあなた次第・・・

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