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ジャンル:バイオレンス
製作国:その他
監督:ブノワ・ポールブールド
主演:ブノワ・ポールブールドほか
殺人強盗で生計を立てるブノワ(ブノワ・ポールヴールド)のもとに、ドキュメンタリー撮影クルーがドキュメント撮影取材に訪れる。「殺したあとは死体をこの湖に捨てるんだよ」「月初めはだいたい郵便屋を襲うよ。年金と年金で暮らす老人の住所を手に入れるためだ」

気性が荒く、饒舌なブノアに怖気づく撮影クルー。撮影インタビューを続けるうち、「実際の殺人現場を見せてやる」というブノワについて行く撮影クルーたちはいよいよ恐怖に凍りつく。「よし、手始めにあの黒人だ。お前らもちょっと手伝え」ブノワのペースに完全に巻き込まれた撮影クルーたちは次第にブノワの殺人にも手を貸すようになり・・・

どんな面白さ?

こんなのを推薦したら人間性を疑われてしまいそう。そんな映画です。でもお勧めします。だってメッチャクチャに面白いから・・・こういう「あまり人には言えない・言いたくない」。でも「面白い!と言わざるを得ない」という映画、これは自分にとっては最高に良い映画に分類されてしまいます。

肝心な映画の方は、初めて観たときに「これ、※スナッフフィルム?!警察に届けた方がいいのかな?!」と思ってしまったくらい、リアルなドキュメンタリー・タッチなもの(これを初めて観たとき、まだ無垢な学生だったから・・)。

繰り返しになるけど、この映画は「本物」と見間違うくらいリアル。この映画のスゴイところは、主人公のブノワ(ブノワ・ポールヴールド)が冷酷・残酷な殺人者であるのに 人物描写がしっかりとされているところ。映画に出てくる一般的な(?)殺人者は、ひたすら悪の部分のみ描写されていたり、ホラーのような作品などでは正体不明の殺人鬼で、そもそも人物が描かれていないことが大多数です。要は悪人は非人間的なんですな。

それに対して、この「ありふれた事件」のブノワは詩が大好きでよく朗読し、陽気で天真爛漫、感情の起伏が激しく短気、強引で無神経なところがあるけど、家族をこよなく愛す。など、人間的なところがとてもよく描写されています。カメラの前でひたすら殺し、そのあと平然と食事を摂りながら冗談を言ったり、家族にキスをしたり、正義を語ったりする。これは本当に不気味で、怖いです。

なので、ホラー映画やサスペンスのような「殺人者が迫ってくる恐怖」よりも、「人間的な部分に対する恐怖」が描かれている部分にこの映画の本質的な面白さがあるのだと思います。

特に印象に残るシーンが、ブノワが殺人の後、撮影クルーたちに向かって「おい、これからメシでも食いに行くぞ。」と意気揚々と誘うシーン。撮影クルーたちはこんなイカレた殺人者と食事なんかしたくないし、この場から早く離れたい。どうやって断ろうか・・?という空気が充満しています。撮影クルーのうちの一人が、なんとか怒らせないように断ろうと、小さな声で恐々と
「・・・・いや、、これから仕事があるから・・・・」
と言うと、ブノワはすかさず
「そんなもん、断ればいいだろ。おごってやるから飲んで食って騒ごうぜ!!」
と一言。明るいが無神経なブノワはこの場の空気を全く察知していない。更に困った撮影クルーは、少しの沈黙の後
「・・・・・・・でも・・・・・今日は車が無いし・・・・・・・」
焦って若干意味不明な返答を返すこのシーン、ものすごく緊張します。

これに似たようなことって誰でも経験してるもんね。怖い先輩や嫌いな人に「○日って空いてる?」と誘われた時の焦り、嫌な上司が笑えないギャグを皆の前で言ったときの誰も笑わないし何も言わない空気の気まずさ。状況は違えど、この日常的で人間的な恐怖描写にすっごく共感してしまいます。

※スナッフフィルムとは、実際の拷問や殺人の様子をビデオに撮り、それを何らかの形で公開するという空恐ろしいものですが、インターネットが出る前は狭い日本の中では「都市伝説」のようなものでした。
「薄暗いマンションの一室で、互いの顔がわからないように頭から袋をかぶった殺人マニアたちが集まって、視聴会を開いてるらしい。参加費は1人100万円」なんて都市伝説が昔はよく語られてました。テレビドラマなんかでもこの題材のものはよく扱われます。

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