濃くて面白い映画だけの情報サイト

これはヤバい・・・マジで大コーフンしてうまく文章が書けないかもしれない。

だって、絶版になっていた原一男監督の「全身小説家」が2016年1月6日にDVDで復刻するというから・・・

知らなかった・・・マジですぐに買わないと・・・

実は15年前、僕の親友がドキュメンタリーの世界に足を踏み入れたとき、彼が師匠としてついたのが原一男監督でした。

その頃は自分自身、ドキュメンタリー映画になど殆ど興味も無く、原一男監督というブッ飛んだ巨匠の名前も知らなかった。でもその親友の影響で、彼が日本映画学校に通っていた頃の講師でもあった森龍也監督の「A」「A2」などを観るようになり、更にその翌年2003年頃にマイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」が世界的に大ヒットとなり、ドキュメンタリーブームが巻き起こりました。

この頃からドキュメンタリー映画がかなり増えて、以前よりも一般的になり始めたような気がする。

それでも、その頃は自分にとって

「ドキュメンタリーは社会的な問題を真面目に解説するもの」

であり、観るときには気持ちを整えてから問題意識を持って「しっかりと」観なければならないものという認識があった。

だって社会的な責任を背負って真面目に作られた社会的な映画なんだから、退屈であっても途中でウトウトしたり、堅苦しくて内容が理解できなかったというのはちょっとカッコ悪い。

だから観るときには途中で寝てしまわないように事前にしっかりと睡眠をとり、内容が理解できるように少しだけ予備知識を頭に入れておく。ぐらいの気持ちが必要でした。だから観る前は実は少し気が重かったり・・・

でもその後、原一男監督の「ゆきゆきて神軍」を観たときに、そんな真面目な気持ちは完全に吹っ飛んでしまった。

この映画を観る前は「戦争という悲惨な出来事を真面目に回帰回想する」映画だとばかり思ってたのに、実際に観てみたら

「戦争という悲惨な出来事を盾に暴れまくるイカれたおっさんの傍若無人ぶりを横で撮っただけ」

完全にブッ飛んだ娯楽映画であることに心底驚いてしまった。

「社会的な問題を真面目に取り上げる」

なんてとんでもない。イカれたおっさんの悪ノリに便乗しただけじゃん! こんな作品がドキュメンタリーなの・・?!いいの?!こんなの面白ぇだけじゃん。

すっかり原一男ファンになってしまった自分は、「ゆきゆきて神軍」の次に気になった映画がこの

「全身小説家」

だった。


「ゆきゆきて神軍」の時は奥崎謙三という「バイオレンス剥き出し主人公」だったけど、この「全身小説家」は井上光晴という「空前絶後の嘘つき」が主人公。

この井上光晴という人気作家は子供の頃から有名な「嘘つき」で、実の祖母からも「嘘つきミッちゃん」と呼ばれるほどの筋金入り。

そんな「嘘つきの才能」を生かして小説家になって大成した男がガンに侵されて死ぬまでを追ったドキュメンタリー。

ところが、ドキュメンタリーの中で彼の知人へインタビュー取材をしていく中で、想定していた嘘つきの範囲をはるかに超えた、「常軌を逸脱した嘘つき」であることが次々と明らかになっていく。

出身地もウソ、学歴もウソ、初恋の話もウソ、父親が疾走したという不幸話もウソ・・・小説家として「虚構を作り出す」のをはるかに超えて、自分自身にまつわるあらゆることが嘘で固められた嘘人生の化けの皮を、この映画の中で一枚一枚丁寧にはがしていく。

自分が思うに「嘘をつく人」は、自分の現状や過去を受け入れることができず、自分にも他人にも見栄を張りたいから嘘をつく。無駄に高いプライドが現状の自分を受け入れることを妨げる。

そんな人がこの世で最も受け入れがたいことは「自分が嘘つきである」という事実ではないでしょうか。だとすれば、ガンに侵されてこれから死を迎えようとしていく一人の弱い人間のウソを、一枚一枚丁寧にはがしていくというのはゾッとするほど残酷な気がする・・・

この残酷さを象徴するのがDVDパッケージに書いてあるサブタイトル。

「嘘もつき終わりましたので・・・じゃあ・・・」

この映画を観ることは、一人の弱い人間が自分を守るために固めた嘘を、容赦なくはがしていくという残酷な作業に参加してしまうことになる。やっぱりドキュメンタリーって残酷だ。でもだからこそ生々しくて面白い。

ちなみに余談ですが、一年前にAmazonでこの映画を検索したら一番安い中古DVDが4万円の価格で売られていました。

そんな作品の新品が手に入るなんて鳥肌が立ちますマジで。DIGさんありがとー!!

嘘つきミッちゃんのウソ人生を容赦なく暴いていく残酷ドキュメンタリー「全身小説家」は2016年1月6日にDIGよりリリースされる!!まずは予告編で嘘つきの序の口を。



51FvsmUBaFL