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「奇跡のひと マリーとマルグリット」が5月よりシネスイッチ銀座にて公開!19世紀のフランスに実在した目も耳も不自由な14歳少女と修道女の物語。

「奇跡のひと」のあらすじ

聴覚障害を持つ少女たちが暮らす修道院に、聴覚だけでなく視覚障害も持つ14歳の少女マリーが入ってきた。一切の教育を受けたことが無いマリーは野生動物のように獰猛で攻撃的だっが、そんなマリーを見て修道女マルグリットがマリーの教育係に名乗り出る。周囲の反対を押し切り辛抱強く教育を試みるマルグリットだったが、これまで人とかかわったことの無いマリーは暴れまわるばかりで言葉があることすら理解できず、進歩を見せることはなかった。

しかし8か月目にして、マリーはふとしたことから、ものには名前があることを知る。学ぶ喜びを知ったマリーは次々と言葉を憶え、母親のように愛情を注ぐマルグリットとの絆を深めていく。

しかしマリーとマルグリットの間には別れの時間が迫っていた。マルグリットは不治の病に侵され余命がいくばくもなかったのだ。静養を勧める医者を押し切り、マリーへの教育に心身を注ぐマルグリットは、全身全霊で「生きる喜び」を伝えていく。

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正直なところ、僕は「愛と感動の物語」な映画はあまり好きじゃありません。ぶっちゃけて言ってしまうと嫌いな部類に入ります。世間ではよくこのような映画を「お涙ちょうだい」と言います。

だからこの映画のストーリーを読んだときは「うーん・・・」でした。だって「ハンディを背負った女の子と、余命僅かな修道女の愛と感動の物語」って・・・なんとなく安っぽい印象を受けてしまう・・・でもこの映画は映像を観た途端に「おぉ・・・!」と素直に感動したのです。

「奇跡のひと」が「おぉ・・!」な理由

感動には二種類あります。学術的に言うと「左脳的感動」「右脳的感動」という名称で分類されます。

左脳は脳のなかでも論理を司る領域で、右脳は直感や感情を司る領域。一言に「感動」と言っても、右脳が直接的に感動する場合が右脳的感動。左脳が介在して、一度論理を理解してから右脳に感動するように命令する感動が左脳的感動。一言に感動と言っても二種類ある。

例えば「障害を持った人が困難を乗り越えて、大きなことを成し遂げる」というストーリーであれば、「障害を持った人はハンディを背負っている」⇒「同じことを成し遂げるためには、健常者よりも努力を重ねる必要がある」という知識を持っていて、その論理を理解しているからそのストーリーに感動できる。だから小さな子供は理解できないし、理解できなければ感動もできない。これが左脳的感動の一例です

つまり左脳的感動は論理で決定され、論理的解釈が必要とされる高レベルな感動。乱暴に言ってしまうと、「この論理からすると感動すべきだ」と左脳の判断が入ってから右脳が無理矢理感動させられる。

そして「右脳的感動」はこれとは対称的に、上のようにロジカルな判断が介在せずに、無条件に感動する。クラシックオーケストラで鳥肌がたつのは、論理が介在せずに感動する「右脳的感動」に該当。理解したり判断したりする前に、音を聴いた瞬間に感動してしまう。キレイな景色を見たとき、スポーツ観戦でスゴい技を見たとき。それがどれだけスゴいことなのか、予備知識や説明がなくても反射的・本能的に感動してしまうもの。

もちろん、どちらが善くてどちらが悪いという話ではありません。ただ、こと映画に関しては「左脳的感動」に訴えてくるものを観ると個人的に抵抗したくなってしまう。認めたくない。ズルいと感じてしまう。

テレビCMなんかで感動のストーリーを詳細に説明して、最後には観客の泣きながら「感動しました!!」のコメントをふんだんに入れているのを見ると、「ほら、これは感動すべき映画ですよ。だから一緒に感動しなくちゃ!」と強要されているようで、抵抗したくなってしまう。要は感動するように論理で説得されているような感覚になってしまいます。

だから映画に関しては、説明的に「感動」を演出してほしくない。左脳を説得するような仕掛けを入れてほしくないというのが正直なところです。

ではこの二種類ある感動のなかで、「右脳的感動」の映画なのか、それとも「左脳的感動」の映画なのかをどうやって見分けるのか?その方法があります。それは「涙が先か?鳥肌が先か?」です

左脳的感動の映画を観ている場合は涙が出ることはあっても鳥肌が立つことはあまりありません。逆に鳥肌が立っているときは、バリバリの右脳的感動の映画。涙はある程度コントロールできるけど、鳥肌はコントロール出来ない。だから頭で解釈して泣くことはあっても、頭で解釈してから鳥肌が立つことはあまりない。

そして、この「奇跡のひと マリーとマルグリット」の映像を見たときには涙よりも先に鳥肌がたった。だから「おぉ・・・!」となったわけです。

この大脳生理学的な「感動に関する学説」は、ツッコミどころや矛盾がたくさんあります。たった今自分が勝手に作ったからです。

左脳的感動と右脳的感動を併せ持ったスグレモノ「奇跡のひと マリーとマルグリット」は5月よりシネスイッチ銀座にて上映!!

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