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11月26日にDVDリリースされた「アデル、ブルーは熱い色」を観た!!

昔から若干のアレルギー&トラウマのあるフランス映画。エロくて暗くて、哲学的な小難しいことをボソボソ喋ってる大人な映画ばかりだし、なんか気取ってる感がある。学生の頃観たフランス映画がことごとく理解できず、トラウマを持っていました。でも最近は少し自分も大人になり、様々なタイプの映画を受け入れ始めているので、印象は変わってきてはいる。それでもポスターやストーリーをみて「あ、これ観たい」と思っても、フランス映画だとわかると「フランス映画か・・・」となってしまうところは否めない。やっぱり思春期に植え付けられてしまったものは大きい。だからタイトルやポスターからしていかにも「フランス映画だぜ!」という雰囲気丸出しのこの映画は、いくら「カンヌのパルムドール受賞」というハク付きでも劇場で観る気は全くありませんでした。

でも、いざこの映画を観たら、トラウマがきれいにクリアされた感じがするくらい、この映画は良かったです。いや、いかにもフランス映画だ。エロくて、哲学的な台詞とアートを気取った登場人物はいかにもフランス映画。それでもそんなことが霞んでしまうくらい、思春期の傷口剥き出しのヒリヒリした気持ちを超絶魅力的な女優と光で表現していたのがスゴかったです。だからカンヌでパルムドール受賞したのか・・・

「アデル、ブルーは熱い色」のストーリー

アデルはオシャレで華やかな友達と学校生活を謳歌する食欲・性欲旺盛の高校生。男子からもモテるし、友達もたくさんいるし楽しいはずなのに、どこかしっくり来ない。いつもどこかで冷めている。彼女は自分自身ではまだ気付いていない「レズビアン」だった。そして自分を好いている上級生男子とデートの待ち合わせ場所に行く途中で、ブルーの髪のレズビアン女性とすれ違い、目を奪われたことが彼女のターニングポイントとなる。

ブルーの髪の女性が気になって仕方がないアデルは、その女性を探すため、ゲイが集うバーやクラブに繰り出す。そしてとうとうその女性を突き止めた。そのブルーの髪の女性の名前は「エマ」。美大生であるエマと高校生のアデルは互いに一目惚れし、付き合うことになる。

月日が経過し芸術家として頭角を表し、人脈も増え多忙になる年上のエマと、好きなことが見つからず将来のイメージもぼんやりとしているアデル。そんなアデルはエマと一緒に暮らすうちに次第に焦りや孤独を強く感じるようになる。気を紛らわすために軽い気持ちで、自分に好意を抱く男性と関係を持ちはじめるが、それを知ったエマは・・・

ストーリーの内容だけ見ると、「レズビアン」という部分だけ除けばバブル期のトレンディドラマか昼のメロドラマのよう。しかも知りもしない、どこの馬の骨だかわからない輩の「恋の行方」なんて自分にとって最も興味のない分野ベスト3に入る。でも侮ってはいけません。高校生の頃の、自分や友達や異性に抱いていた言葉には簡単に表せない「傷口剥き出しのヒリヒリした感情」がとてもよく画面に表現されていて、とても共感してしまった。

一目惚れした相手とのラブシーンでは、目がくらむような眩しい太陽の光の中「自分たちが世界の中心である」感満載で、相手の顔が綺麗に光に反射して髪の毛一本一本まで細部が表現された映像は思わず鳥肌が立ってしまった。友達から「レズである」ことを指摘されて本当に顔を真っ赤にしている様子や、口を開けてポカンとしている気だるさとか、共感できる部分が盛りだくさんで、主演のアデル・エグザルコプロスに惚れてしまいました。

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演技のことも撮影技術のこともよくわからないけれど、若年期に抱く「自分たちが世界の中心的感覚」や「この人こそが世界で一番的感覚」「この世の終わり的絶望感」がこんなに表現されるとは、この映画で監督+主演女優2人が3人でパルムドール受賞という史上初の快挙を成し遂げたことが自分の中で腹に落ちました。

オシャレで面白くていつも楽しそうにしている仲間と一体になりたいという気持ちと、どこかしっくり来ないモヤモヤした気持ちが相まって、常に孤独にも似た焦りや自己嫌悪を抱いていた高校生の頃。うーん懐かしいなぁ。恋愛対象となった相手に「この人以外は絶対にありえない」と感じたり、友人関係で「この世の終わり」を感じたりしたのは、まだ行動範囲が家と学校の往復路という狭い範囲でしかなかったからなんでしょう。だから自分の身に起きることがこの世の全てだし、一つ一つの出来事の意味が大人に比べてはるかに大きい。だから大人に「若くて良いね」なんて言われても、ちっともピンと来なかったし、十分過ぎるほどしんどかった。大人からは気楽に見えるけど本人は地獄の苦しみを味わっている。

アデルの超絶的魅力

この映画の主演を務めるアデル・エグザルコプロスはそれをとても良く表現していて、本当に驚きでした。そしてたくさん共感できても、ダブらないところが一つだけ。それはアデルが「異性に超モテる」ところ。ここだけは自分の中で「あるある」にはならなかった。でも周囲にこんな女子はいたので、それがどんな女子だったのか、思い出してみた(日曜はワリとヒマなんです)

男に好かれる女子には乱暴に大きくわけると2タイプいた。可愛くて明るくて性格も良くて男女問わず誰からも好かれるタイプと、どこか影のあるタイプ。前者は美人だし常に中心的存在であることが滲み出ているから、モテることはみてすぐにわかる。でも「影のある」後者は性格がすごく良いわけでもなく、それでいて発言が過激だったり、単独行動が多かったり、謎めいていていまいち行動が読めないところがある。でもすごく気になる。小学校、中学校、塾、大学、コンパなど場所は問わず男からモテる女子には必ずこういうタイプがいたし、前者の「才色兼備タイプ」よりも「影あるタイプ」の方が明らかにモテていた。

そしてこの映画のアデルは明らかに後者の「影あるタイプ」。いつもポカンと口を開けていて、無気力でつかみどころがない。可愛いけど超美人というわけでもない。ちょっと太ってるし。遊びに誘ってもいつも素っ気ない。その気になったかと思えば、翌日にはまた素っ気なくなっている。皆で盛り上がっていてもどこか冷めている雰囲気を持ったアデルは、映画の出だしでは「若いけど、なんかあかぬけない女優だなぁ」とぼんやり感じていたのに、髪を上げて太陽の光を浴びているとき、その印象は180度変わってしまった。

そしてこの人を見ているうちに、20年以上前の超絶美人のマリー・ジランを思い出しました。何となく似ている。いや、マリー・ジランの方がはるかに美人だった。でも才色兼備のマリー・ジランよりもアデルに魅力を感じてしまうのは、やっぱり影があるからなのかと。

そしてつくづく感じた「劇場で観れば良かったなぁ・・・」。そんな人のために、アップリンクで「見逃した映画特集」で2014年12月27日~2015年1月6日まで上映予定!!