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一昨日の12/6(土)からイメージフォーラムにてレイトショー公開中の「加藤くんからのメッセージ」。大学を34歳で卒業し、月収9万円の36歳独身男性の主人公「加藤くん」の夢は「妖怪になること」。11年かけて卒業した大学の卒業演説で「妖怪宣言」を披露した中年男が「妖怪になりたい」と真面目に叫ぶドキュメンタリー映画。

メガホンを取ったのは、加藤君の卒業演説で妖怪宣言を目の当たりにした元OLの綿毛さん。ほぼ素人でカメラも持たない彼女は、加藤君のアイフォンを使って撮影したそうです。そんな映画だけどイメージフォーラムフェスティバルでは観客賞を授賞し、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでコンペティション部門入賞というから侮れない。

こんな映画なので「どんなヘンな奴が飛び出てくるのか!?」という野次馬精神を刺激されるのも事実だし、「こんな人生も有りなのだ」ということを知ることで、凝り固まった自分の価値観に多様性を持たせてくれる(平たくいうと勇気をくれる)かもしれないという期待感もある。

このサイトでも「ダメ男映画の特集」を組んだことがあるくらい、こういった「ヘンな」映画は好きな方だと思う。でも下に貼りつけた、この映画の予告編の最後。黒い背景に浮き上がる1つのコメントをみて不意にどうしようもない不安を覚えました。

「この男は空っぽだ。だから彼は叫ぶ。僕は空っぽなんかじゃない!と。」

「空っぽ」・・・今年一番の心に突き刺さる言葉に出会いました・・・「ダメな奴」「どうしようもない奴」「バカ」という言葉のなかにはまだ救いがある。「こいつはどうしようもない奴だ。でも・・・」とその先が続くような気がするから。そこに救いや展開を予感させるものがある。でも「空っぽ」は容赦ない。「こいつには何も入っていない」という、その先には何も続かないような全否定。だって空っぽなんだから。

「加藤くんからのメッセージ」。当初は見世物小屋的な、健全ではないけれど好奇心や安心、勇気を満たす映画だと思ったけど、加藤君が「空っぽ」なのだとしたら、その加藤君を描いたこの映画そのものが「空っぽ」だということになる。だとしたら観ないほうが良い。時間もお金も無駄だ。でもやっぱり一度気になった映画は観ずにはいられない。彼は僕と同じ1975年生まれというのも何かの縁。面白かろうがつまらなかろうが、「空っぽ」とは何なのか?自分なりに考えるきっかけにしよう。と決意してみたこの映画、12/6(土)からイメージフォーラムにてレイトショー公開中!