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スティーブ・ジョブズの伝記映画の配給権をユニバーサルが取得したと話題になってます。ソニー・ピクチャーズが制作するも、配給権を手放して宙に浮いた状態だったのが、一気に事が進んだということなのでしょうか。監督はトレイン・スポッティングのダニー・ボイルに決定しているとのこと。

そして今年の6月にDVD化されたジョブズの伝記映画「スティーブ・ジョブズ」(以下予告編です)と何が違うのか、自分にはまだよくわかっていない。どちらも素直に「観たい」という気持ちと「フン!」とソッポを向きたくなる気持ちが同居してしまうのは何故なのか?マーク・ザッカーバーグの伝記映画「ソーシャル・ネットワーク」だってそれなりに面白かったし、観もしないで否定する理由は何もないはずなのに。でもすこしだけ抵抗したくなる気持ちわかるでしょう!?いったい何故なのか?加速度的に神話化したスティーブ・ジョブズの成功列伝。結局は「ジョブズはこんなに凄い人だった」という結びで終わる予測がつくから?なんかそれだけでは無いような気がするのです。

解釈の余地が無いものはイヤ!!

余談ですが、自分が勤める会社ではいろいろな技術講座やビジネススキルアップの講座がたくさんありました(過去形)。その中でも、5年ほど前まで多かったのが「トヨタの品質管理」「トヨタのなぜなぜ分析」のようなトヨタを題材にした講座。そして本屋に行けばビジネス書コーナーにトヨタの本は数えきれないほどありました(最近はグッと減ってしまったけど)。パラパラめくると「トヨタはこんなに凄いことをしている。だからこそ世界一のブランドを築けたのだ。だからみんなでトヨタを見習おうぜ」という内容に終始。そして「確かにスゴイね」と感心する。

そして、スティーブ・ジョブズの話が出た瞬間に、これと同じような話に収束していくことが本当に多い。「ジョブズってヤツは本当に凄い。やっぱりイノベーション起こすヤツはこんな風に尖がったヤツでないと!」という暗黙の流れ。主張している方は結構気持ち良い。「ジョブスはこんなに凄いんだ」と主張している自分もなんだか一段上に立っているような、ちょっとスゴくなったような気分になるし、ある程度スゴいと認知されてる人のことを「スゴイ」と主張するのは安全だから。その中に一つくらい皆が知らないエピソードを織り交ぜれば「へぇ~」と感心してもらえるし。

別にそれ自体は否定しないし、スティーブ・ジョブズは本当にスゴイ人なんだと思うし、そういう優れた人物や組織から学ぼうとする姿勢はすごく共感。でもスゴイ人のスゴイところばかりを取り上げて、皆で「スゴイよな」と称賛して否定を許さない雰囲気は、思考停止の第一歩のような気がして、なんだか抵抗してみたくなってしまうのです。

15年前の映画、スティーブジョブズとビルゲイツの無名時代からの対決を描いた「バトル・オブ・シリコンバレー」(以下予告編)。この映画はジョブズ氏だけでなくビル・ゲイツ氏のイカレぶりも同列で描かれていて好感が持てた。こちらはまだAppleがiPodを出して世界を席巻する前で、Windowsが世界を制覇していたころの映画だから、スティーブ・ジョブズを崇拝するような内容では無く、どちらかというと逆に「こんな無茶をした変なやつだから、皆が離れていって、マイクロソフトに負けた」という結びでした。時代が古いから当然なんだけど、突っ込みどころがある。他の人は「ジョブズはスゴイ」と口をそろえて連呼している中、「ジョブズは負けた」という主張は、「え?!なんで?」という疑問や解釈の余地を生みます(この映画の場合は単純に時代が違うからということなのだけど)。

正しいことを正しく描いた映画よりも、やっぱりヘンなことをいかがわしく描く映画の方が魅力を感じるし、良くも悪くも心に傷を残す。そんな映画が観たいお年頃です。そしていかがわしくてヘンなヤツといえば、12月6日よりシアターイメージフォーラムで公開される「加藤君からのメッセージ」。本気で世界を変えたい男ではなく、本気で妖怪になりたい男のメッセージ。面白いかどうかなんて知りません。多分どうしようもなくつまらないと思う(笑)。でもジョブズとどっちが観たい?!僕は断然ジョブズさんです。