濃くて面白い映画だけの情報サイト



先月10月31日からDVDリリースされた「ダークブラッド」を観た。劇場で観たかったけど観れずじまいだったので、自宅にてDVD鑑賞。言わずと知れたリバー・フェニックスの遺作です。撮影途中で主演であるリバー・フェニックスが亡くなってしまったので撮影はとん挫し、映画は20年間封印。そして当時監督を務めたジョルジュ・シュルイツァー氏が大病を患い余命宣告を受けたことをきっかけに、監督自身が「おれが生きているうちに映画を完成させよう・・・!」と決意。主人公不在のまま、編集のみで完成までこぎつけた異色の映画です。だから撮影できなかったシーンも多く存在し、静止画で音声ナレーションで監督本人が解説するシーンもあるけど、そこがまた映画の背景を物語っていて新鮮でした。

そして不思議なくらい映像に引き込まれてしまい、観ていてあっという間だった(86分と、実際に短いのだけど)。「リバーフェニックスの遺作で、未完のままま封印されていた映画」という、ショッキングな背景を差し引いても刺激的で面白い映画でした。

「ダーク・ブラッド」の面白さ

舞台となるのはかつて核実験がされていたというアメリカの砂漠。ほとんど人のいない荒廃した町で、一人孤独に住む若者ボーイ(リバー・フェニックス)。そんな人気のない場所に、ハリウッド俳優である壮年夫婦が旅行で通りすがる途中で車が故障し、遭難しているところをボーイが助けて家に滞在させるというシンプルなもの。

それにしても、このリバー・フェニックス演じるボーイの行動がとにかく読めない。核実験場のから拾ったスクラップをコレクションしていたり、地下に巨大な神棚を製作したり、婦人にセクハラしたり。そして何かと理由をつけては夫婦が帰れないように引き留める。婦人に性的な魅力を感じ、あからさまにそれを表現して夫と対立する若者。でも婦人の方はまんざらでもなさそうなので、三人の関係はどんどん複雑&険悪に。そしてボーイの読めない行動に次第に気味が悪くなり、苛立ちと共に夫婦とボーイが対立していく。

dark_blood3

dark_blood2

このボーイという若い青年は、かつてこの場所で夫婦で暮らしていたが、妻は癌でこの世を去ってしまったという設定。でも自身の生い立ち含めてそれをボーイ自身が語っているだけなので、それが本当なのかすら謎。核実験の跡地で展開するところや、妻を癌で失っているという物語設定やタイトルからも「核」という重いテーマと意味を持たせていることがわかるけど、そんなことよりもボーイの怪しさや寂しさ、哀れさが際立っている。

スリラー映画にあるような、見るからに悪意に満ちた変質者、犯罪者というわけでもなく、若くて美少年で結構良いヤツなのに、行動がどこかずれていてイマイチ意図が読めなくて何となくキモイ。こういう経験は誰にでもあると思う。良いヤツなのに、なんか一緒にいたくない。何より自分を慕ってくれている。なのに一緒にいるだけで気分も周囲の景色も淀んでくる。あぁ早く帰りたい・・・この人から離れたい・・・

更に人気のほとんどない荒廃した町で展開するので、その舞台の時代背景もほとんどわからないところも、異様な雰囲気に拍車をかけていて刺激的だ。当時23歳だった若き日のリバー・フェニックスが、そんな「怪しさ」と同時に「寂しさ」「哀れさ」を体験をさせてくれる封印・未完の名作「ダーク・ブラッド」は10/31からDVDリリース!!

こちらは長編版予告↓



dark_blood_poster