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2011年に突然急逝した森田芳光監督のデビュー作「の・ようなもの」の続編、「の・ようなもの のようなもの」(仮)の主演に松山ケンイチがキャスティングされたとのニュースを観てとても興味津々です。なのでオリジナルの「の・ようなもの」を改めて観てから記事にしようと思ってました。

森田監督と言えば「家族ゲーム」。「家族ゲーム」といえば、中学生の頃「こんなに腹を抱えて笑った映画は初めて!!」なほくらい、呼吸困難になるほど笑った映画。だから「家族ゲーム」ばかりを擦りきれるほど観てしまい、他の森田作品を殆どスルーしてしまっています。デビュー前の「ライブイン・茅ヶ崎」はまず最初に観たい!と思い続けるもソフト化されていないので観れず。その次の候補「の・ようなもの」は観たいと思いつつ、いざ観るときは確実に面白い名作「家族ゲーム」の方を選んでしまう。そんなことが続いて観る機会を自ら潰していたこの映画をやっと観ました。これを観て続編を「観たい!」と思うかどうかで、記事にするかどうかが分かれるのですが、結論からいってしまうと、続編がすごく観たい!素直にそう思える名作でした。

「の・ようなもの」の内容と魅力

23歳の志ん魚(シントト)(伊藤克信)は上京したての栃木弁丸出しの落語家の卵。誕生日に先輩落語家志ん米(尾藤イサオ)からプレゼントされた「ソープ代」を片手に吉原へ行くが、そこで出逢ったエリザベス(秋吉久美子)に気に入られ、プライベートの電話番号を渡される。これをきっかけに、二人は休みの日にデートを重ねるようになる。おっとりとした性格のシントトは、派手に振る舞う風俗嬢に敬語で「スゴいですねぇ」と感心するばかりで、関係はなかなか進展しない。というかそもそも関係を進展させようとか、相手にとっての自分の存在とは?等そういった悩みや葛藤が全く感じられず、挙句の果てに「ぼく、女子高生と知り合いまして、お付き合いしようと思ってるんですけど」とエリザベスに相談する始末。エリザベスは志ん魚(シントト)の素直なところに惹かれていた。

一方、見習いの落語家として公演や地元の団地限定の有線テレビ局の番組構成、スポンサー企業(地元の商店)のプロモーション活動、女子校の落語研究会の指導など、幅広くも地道に活動を行う。ほのぼのしつつも目まぐるしく過ぎていく落語家としての日常と恋愛(のようなもの)を描いたコメディ映画。

主演の伊藤克信の栃木なまりのおっとり素直で飄々とした雰囲気や、先輩落語家たちのいい加減で自由な振る舞いが観ていてとても心地よいです。妻子持ちでソープへ行ったり、夜中に帰れなくなって皆でラブホテルに泊まったり、その自由さと、「落語家ってこんな楽でたのしそうなの?」と思ってしまうような気の抜けた雰囲気。それでも「真打ちになりたい」一心で全力で日常を過ごす姿がとても好印象でした。

何より良かったのは、志ん魚含めた若手が「落語が下手」で、指導している女子校の落語研究部の女の子たちの方が世間慣れして器用で世渡りも上手い。挙げ句の果てに、指導役であるはずの志ん魚が、女子高生にしみじみと「シントトさん下手すぎ・・・」と言われてしまう。恋愛も落語もどこか中途半端。だから恋愛は「恋愛のようなもの」落語も「落語のようなもの」になってしまう。それでも相変わらず「成長のしかたは人それぞれですから」と、叶うかどうかもわからない「真打ち」への目標にマイペースで前進していく姿は地味だけどとても身近に感じられ、共感してしまったのです。

外からみると華やかだったり立派に見える世界でも、いざ自分がその世界に入ってしまえば、そこには意外と地味だったりそれほど立派ではなかったり、なんのことはない日常に「こんなもんなのかなぁ。こんなんでいいのかなぁ」と感じてしまう。思えば子供の頃「三十路を越えたオッサン」は文句なし・非の打ち所の無い立派な大人でした。それがいざ自分がその年になってみるとちっとも大人じゃないし「大人」の実感もない。かといって子供でもない「大人の・ようなもの」。この映画の「の・ようなもの」にもそんなフワフワ感が漂いとても共感です。

そして、肝心な続編「の・ようなもの のようなもの」(仮)の方ですが、とても興味深いと思ったのが、前作「の・ようなもの」のその後を綴った物語のようで、殆どそのまま前作の出演者がそのままの役柄で登場。そこへ松山ケンイチさんが新たな新人として加わるという設定のようです。ここまではふつうですが、前作の志ん魚(伊藤克信)だけは行方不明になっており、志ん魚の行方を追うところからはじまるようです。

それにしてもこのタイトルのセンスの悪さ・・・まだ仮タイトルということですが、それにしたってこのタイトルは観る気が半減してしまいそう・・・観るけど。