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地下鉄での狂気が発端となり若者の命が奪われた実話をもとにした話題の最新作「フルートベール駅で」は9月13日にDVD が発売されます。この映画は気になってはいたけれど「全米が泣いた」というキャッチコピーがどうにも気に入らなくて「DVD化されたら観ようかな」程度に思っていました。
そしてこれと同じく地下鉄での狂気と暴力を1967年に描いた「ある戦慄」。こちらの映画は「トラウマ映画館」という”観ると心に傷を残す映画”ばかりを集めてレビューするという町山智浩さんの著書に載っていたもので、全く知らない映画でした。そしてその本には、この映画が「当時地下鉄での撮影許可を申請するも”内容が過激かつリアル過ぎ”て許可が降りなかった問題作であったことや、単なる暴力映画ではなく心理描写がしっかりされている興味深い映画であることが記載されていたので観てみました。すっごく面白かったです。

「ある戦慄」の内容

真夜中2時をまわる日曜日のニューヨークの街。母親の家で週末を過ごし、帰宅途中の裕福そうな子連れの夫婦や、いかにも素行の悪そうなリーゼント頭の不良男とブロンド女性の若いカップル。体格の良い若い軍人の二人組やパーティー帰りの険悪な雰囲気の中年夫婦。人種差別に怒りと絶望を抱える若い黒人夫婦。ル中が原因で離婚調停中の中年男性と気の優しそうなゲイ男。彼らは同じ時刻にくたびれた様子で同じ地下鉄の車両に乗り合わせていた。

そこへ酔っぱらった若いチンピラ二人組が同じ車両に乗り込んでくる。車内で騒いで暴れるチンピラと目をあわさないようにやり過ごそうとする他の乗客だが、チンピラの悪ふざけはエスカレートしていく。酔って寝ている乗客の足を持ち上げてマッチの火であぶる姿に、とうとうバーの帰り道の中年男性が耐えかねて怒鳴る

「いい加減にしてくれ!!その人が一体何をしたというんだ!!」

「何だと・・・?!お前俺たちに文句付けんのか?」

ここからチンピラの執拗な乗客イビリが始まります(笑) 「おれは田舎者だから」と終始ニコニコと笑う軍人1と、体格が良くてデカい口を叩くわりに終始うつむいて必死で目をそらす軍人2。「ここにもうちの息子と同じバカがいる」とチンピラを睨み付ける男性老人や、怯え方が半端ではないゲイ男性。チンピラが来るまでは我が物顔で幅をきかせていた若者カップルは隅っこで小さくなっていたり、白人がいじめられる姿を見てニヤニヤと楽しむ黒人男性など、皆怯えながらも反応が様々。

このチンピラ2人が乗客たちをイビリながら地下鉄車両という密室で追い込んでいく過程が妙に緊張感とスリルがあって面白かったです。「そういえば学生時代の不良の先輩に絡まれて追い込まれるときってこんなだったよなぁ」と妙に懐かしい気持ちも。

そして恐怖と緊張で列車から逃げ出そうとしても出してもらえない。そんな心理戦が極限に達した時、映画は壮絶なラストを迎えます。
チンピラとして暴れまくる若者の1人が、若き日のマーチン・シーンであると気付いたとき、すごく得したような気分にもなったこの映画、なかなかの名作でした。TSUTAYAの宅配でも借りれますよ。

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