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先日紹介した「爆音映画祭」とは完全に対照的な静寂映画「大いなる沈黙へ」。週に四時間しか会話が許されない厳格かつ伝説の修道院「グランド・シャルトル―ズ」での静寂に包まれた生活を描くドキュメンタリー。予告編を観ると「音がないからこそ聴こえてくるものがある」というメッセージがとても印象的です。更に

”1984年、監督が修道院の撮影を申請。「まだ早い」と断られる。16年後、「準備が整った」と連絡が来る。条件は「音楽無し」「ナレーション無し」「照明無し」「仲へ入れるのは監督のみ」
準備に2年、撮影に1年、編集に2年、構想から21年、映画が完成する”

そしてヨーロッパでの公開時には大反響を呼び「サンダンス映画祭」「ヨーロッパ映画祭」等で数々の賞を受賞し、そこから更に9年の歳月をかけて日本での公開に至りました。フィリップ・グレーニング監督は、ただ一人6か月間の間修道士と同じように生活をしながら、自給自足の俗世間から完全に隔絶された世界を一切の加工を加えずにありのままに撮影した。そして、この修道院をカメラがとらえるのは史上初だそう。数世紀もの間変わらない生活を送るその姿を捉える2時間49分。

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興味津々です・・・昨日は「爆音映画」のことばかり考えていただけに余計に興味津々です・・・実はこの映画、ミニシアター系映画だけを紹介する「ミニシアターに行こう」という貴重な有名サイトで1か月以上前に紹介されていて、そこで知りました。このサイトとコンセプトが似ている先行サイトで紹介されているので、あえてこのサイトでは紹介する必要は無いでしょう。と紹介を見送っていましたが、予告編を改めて観てみて妙に共感するところと、昨日の「爆音」との落差にやられてついつい紹介・・・・

「爆音」は外向きで刺激的で楽しいですが、「静寂」は内なる深い何かが浮かび上がってくるような不思議で平安なものがあります。予告編を観ているだけで、静寂なだけに「修道院内に響く歩く音」「修道院外の風や小鳥のさえずる音」「食事中に飛び回るハエの羽の音」等、普段は気にかけないような音に神経が研ぎ澄まされて、落ち着くような感覚があったり「聖歌の合間の咳払い」が妙に可笑しかったり。
昔、雪国出身の母親が


「若い頃にね、雪が降り積もる日に一人で家にいると、まったく音がなくなることがあるのよ。本当に静かで静かで・・・雪が降る音が聴こえてくるんだよ。この静寂がすごく好きだったなー」

子どもの頃のボクは当時この「雪が降る音が聴こえる」の意味が分からず「雪の音ってどんな音なの?」と尋ねると

「うーん・・・言葉では言い表しにくいけど「シン・・・シン・・・」っていう音かな」

と言っていたことを思い出しました。大人になってからこの感覚がわかるようになった気がします。例えばテレビの音量を無音にして観ると、音は無いはずなのに音が聴こえてきます。これ昔からすごく不思議な感覚がするんだけど、音のない部屋で音のない画面をじっと観ているとテレビの電子音だけでなく明らかに声や音が聴こえてくるのが感じられます。これって、静寂の中で何かを観ると、聴覚が休んでいる分、視覚的なものや自分の中で感じられるものに感覚が集中するからなんだと思う。だから音のない部屋で音のない映像を観ていると、映像の中で起きていることを自分の中で想像して自分の中で音を創りあげるようなことが起きるのかもしれません。この映画の「音がないからこそ聴こえてくるものがある」というメッセージにはそんな意味が込められているような気がします。

そんな濃い映画「大いなる沈黙へ」は8/22を以って岩波ホールでの公開が終了してしまっているようですが(もっと早く紹介すればよかった・・・)、シネマジャック&べティやポレポレ東中野他ではこれから上映予定!!公式サイトはこちらです

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